magic hour

骨が軋むほどの餞を君に

 ――左之助と付き合っていることを新八に話をするために、明日は朝食の約束を取り付けたのだという。
 閨の中でぽつぽつと話されたその一大決心に「おお、えらいえらい」と恋人の髪をくしゃくしゃにしながら、はて、と左之助は首を傾げた。
「俺もついていっていいのかよ」
「駄目に決まってるじゃないですか! あんたがついてきたら絶対ろくでもない報告をするんだ! だから、僕だけです……」
 少し強張った顔を見せる平助の額に口付けながら、そう心配しなくても良いだろうと左之助は高を括っていた。一相手ならともかく、新八ならばきっと平助の事を抱き上げて良かったなあと大きな声で笑うのだ。
 うむ、新八だからこそなんだかムカつく。
 明日は密かに尾行してやろうかと考えながら、腕の中の平助を見つめていると、いつの間にやら左之助の左手の掌に指を伸ばしていた。
「どうした、平助」
「……餞をください」
 平助の唇が、左之助の薬指に落ちる。
「――原田さん」
「ん?」
「僕はこの先もきっと何もかもを許せなくなる日がまたくるし、それがただただみっともなくて息苦しくなると思います。……それが復讐者の僕だ。だから、原田さん」
 平助がゆるゆると微笑んだ。
「そんな僕でも、食べてくれますか?」

「――ああ、食べるぜ」

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